【SVシングルシーズン11】毒菱ハリーマングライオン【最終82位】
S11で使用し、最終82位だった構築。
構築経緯
レギュレーションEで新しく解禁されたポケモンの中で、高い耐久を持ちながら単体でTODを完遂できるグライオンが弱いわけがないだろうと思い軸にとして組み始めた。
単純に久しぶりに使えるから使いたかったのもある。
まず、グライオンを対策できるポケモンの中で環境に多いウーラオスと暁ガチグマに対してグライオンを選出できないと軸として成り立たないため、この2匹を同時に受けられるポケモンとしてカイリューを2匹目として採用。
グライオンがみがまもするだけで相手を削ることができ、カイリューが暁ガチグマに対して回復技連打を強いられPPを枯らされてしまう展開を阻止するために毒菱を採用することも決定。
毒菱を撒くポケモンとしてドヒドイデ、テツノドクガ、マスカーニャ、オオニューラ、ブロロローム等試したりするもののどれも後一つ性能が足りない中、ハリーマンが欲しい性能を全て持てることに気が付き、ハリーマンを採用。
ハリーマン、グライオン、カイリューを基本選出とした。
基本選出ができないポケモンはアーマーガア等の毒が効かないかつ、地震で倒せないポケモンなのでそれらに強いイーユイを採用。
ここまでの4匹でギリギリ戦えなくもないが、辛い立ち回りを強いられるテツノツツミに強いチョッキテツノカイナを採用。
最後に、5匹で無対策のグライオンとハリーマンを起点にグライオンとカイリューまで貫通してくるガブリアスの対策として風船マリルリを採用した。
個別解説
グライオン@毒々玉
鋼テラス ポイズンヒール
腕白 177(212)-116(4)-167(52)-*-117(172)-124(68)
守る 身代わり 地震 毒々
H
・8n+1(ポイヒ意識)
HB
・204カイリューの+1テラス神速をポイヒ込みで2耐え
HD
・テラス後205ハバタクカミの+1テラスムーンフォースをポイヒ2回込みで2耐え(99.61%)
S
・準速キノガッサ+2
ほぼ全ての構築に対して選出する構築の軸。
基本的にグライオンからの打点が全くないポケモンがいて、カイリューがいない構築に対してのみ選出しない選択を考えるため、選出率は9割を超えている。
毒菱を撒くorTODで判定勝ちの状況でみがまもを抜ける術を持っていない相手には運要素もテラスタル等を含めた択ゲーもなく勝ちがほぼ確定するため、いかにその状況を作るかを考えて立ち回る。
毒地震が効かない相手や上から身代わりで対策してくる相手もTODの前では全く意味をなさないため負けることは殆どなかった。
ループを崩してくるポケモンは主にウーラオスとガチグマの2匹だが、ガチグマはハイパーボイスを切った型も多く、その型にはグライオンが強めなこともあり、実質ウーラオス以外で誰にも止められない。
技構成はテンプレの4つ。TOD完遂、みがまもで相手を倒し切る毒、毒が効かない相手に通る地震と、テンプレながらこれ以上グライオンを強く使える構成は考えられなかった。
配分はどんなポケモンに対しても毒が入っていれば勝てる性能が欲しいためBD振り分け。欲を言えば眼鏡シャドボ後に身代わりを確定で貼れたり、スケショのダメージを減らしたり、準速カイリュー抜きまでしたいが、どれも数値が足りていないため妥協ラインを探った結果ここに落ち着いた。
テラスタイプはカイリューのスケイルショット、逆鱗、飛行テラバ、ノマテラ神速に対して毒を入れる余裕を作れる、暁ガチグマに勝てる、ハバタクカミやパオジアンに動ける等の理由から鋼。半減の多いタイプのおかげで元タイプと合わせて大体のポケモンに身代わりを貼れる展開を作れるのが強い。
使用率上は水テラスが多いため、鋼一点読みをされることもなかった。
毒玉発動する前にテラスタルを切ると毒玉が発動せず置物になるので注意(シーズン途中で1敗)。
火力のあるカイリューに毒を外すとすぐ負けそうになること以外は状態異常や急所等の運要素を排除して勝ちにいける最強のポケモンだった。
フェアリーテラス マルチスケイル
図太い 197(244)-*-144(124)-121(4)-133(100)-105(36)
エアスラッシュ 電磁波 アンコール 羽休め
HB
・200ウーラオスのアイススピナーをマルスケ込みで羽休めの回復量以下(93.75%)
HD
・205ハバタクカミの+1テラスムーンフォースをマルスケ込みで耐え
・205暁ガチグマのテラスブラッドムーンをマルスケ込みで羽休めの回復量以下
S
ウーラオスと暁ガチグマに後出しできるポケモンはカイリューしか存在しない。
技構成は羽休めは確定として、暁ガチグマの瞑想ケアのアンコール、ガチグマとウーラオスに打点のエアスラッシュ、毒テラスや鋼テラスでハリーマンやグライオンに抗ってくる相手に通す電磁波。
アンコールは積みの起点回避の他に、技を縛ってからグライオンの身代わりを安全に置く展開も作れるため非常に強力だった。
持ち物は水ウーラオスに対して素早い削りを入れられるゴツゴツメット。
食べ残しは真空波に対して後出しした時にマルスケを復活させられるのがかなり強かった半面、水ウーラオスに崩される展開が多かった。
配分は暁ガチグマとウーラオスにとにかく寄せた。暁ガチグマに火力アップアイテム+ノーマルテラスをされる受からないが、毒ダメとエアスラで無理やり地震圏内に捻じ込む。この展開があるために炎の渦の採用を断念。
テラスタイプは悪ウーラオスに崩されないようにフェアリー。
元のタイプ同士ではグライオンとそこまでタイプの補完がよくないため、どちらかをテラスタルすることで補完を取れるように立ち回る。
ハリーマン@イバンのみ
水テラス 威嚇
慎重 190(236)-135-118(20)-*-128(252)-105
毒針千本 毒菱 堪える 道連れ
A
・162-117ハバタクカミを毒針千本+倍補正毒針千本+毒ダメ2回で落とす(90.62%)
HB
・200水ウーラオスの+1水流連打耐え(99.54%)
HD
・205暁ガチグマのだいちのちから耐え(87.5%)
初手の毒菱撒きとして完璧な役割をこなすポケモン。
毒菱撒きの欲しい性能が(全てテラスタルせずに)
1.暁ガチグマに毒菱を撒く+@の仕事ができる
2.グライオンやカイリューに引けないポケモンに対して負けない
3.過剰にサーフゴーを呼ばない
の3点。
これらを全て満たすポケモンを考えた結果この型のハリーマンに辿り着いた。
この型を思いつかなかったらグライオンを使うのを折れていたであろうくらいにはグライオン+カイリューと組むには最高のポケモンだった。
1について、毒菱を撒いた後暁ガチグマに1発で倒されると、2vs3になり捲れるかが怪しい試合展開になってしまうことが多かった。
倒されないように毒菱を撒く前にカイリューに引いてもカイリューはガチグマを削れない。
このハリーマンはガチグマの攻撃を1度耐え、その後真空波に合わせてカイリューに引いてイバン道連れを裏に残す、またはCをそこまで振っていなければ道連れで1:1を狙うことができる。
ハリーマンと暁ガチグマを1:1すればグライオンが動きやすくなり一気に勝ちに近づく。
殴る前にハリーマンのD振りを判断することは不可能なので、初手大地を撃ってくる相手は初手道連れをケアせず1発で倒すのを狙ってきているということであり、次のターンの道連れが簡単に通った。道連れを知らなくても真空波圏内であれば毒等を嫌って真空波を撃ってくるのでカイリュー引きに他の技を合わされる心配もない。
2について、特にハバタクカミやパオジアンが該当。
初手これらのポケモンに対面負けてしまうと裏のグライオンカイリューのどちらかにテラスタルを切ることになるが、その展開は裏のポケモンが見えていないためどちらにテラスタルを切ればいいのか判断できなかったり、テラス前の耐性を生かせなくなり、負けに直結する。
そのためできるだけ対面性能が高いポケモンでなくてはならないが、ハリーマンは弱点が地面だけなので不利対面が少なく、特性持ち物込みで多くのポケモンに対面から殴り勝つor毒菱+イバン道連れで1:1交換ができる。
苦手な地面相手には引く選択肢を取れるためタイプの補完も非常にいい。
3について、グライオンとカイリューがテラスタル込みのサーフゴーに全くの無力なため、毒菱+グライオンカイリューと選出する時にサーフゴーを選出されると簡単に負けてしまう。
ハリーマンはテンプレの型がサーフゴーに強く、嚙み砕くの使用率も高いためサーフゴーを呼ぶ性能は持っていない。
毒菱展開にサーフゴーを投げたがる構築も存在するため、過信しすぎるのもよくないが。
技構成は採用理由の毒菱、道連れ、イバン発動を助ける堪える、殴り合いに強くグライオンとも噛み合う毒針千本。
鋼に一切打点がないのでグライオンとカイリューでどうにかならない鋼タイプがいたときに選出は避けたいがサーフゴーは色んな構築に入っているため並びを見て判断して出していた。
毒菱はHP管理がシビアなグライオンが本来失うはずだった毒々を撃つターンに食らう攻撃によるHPを他のポケモンで肩代わりでき、なおかつ最大で毒々3回分に匹敵する価値を見出せること考えるとこれ以上にグライオンと噛み合っている技はない。
それに加えてハリーマンはイバン道連れで1:1を狙うポケモンなので、肩代わりしたHPの消費も実質アドバンテージは取られておらず、この型の毒菱は0ターンでグライオンが毒を0~3回撃っていることとほぼ同義。
毒針千本は追加効果が強く、挑発をされても毒をばら撒けるため、特に展開を止めようと初手に出てきた挑発ハバタクカミに対して圧倒的なアドバンテージを取れた。
堪えるを見せるとイバン道連れを警戒した行動をされるため、道連れを押さずに交代することで、無償で裏のポケモンを場に出しつつハリーマンを残して、のちに避けられないイバン道連れをしたり、TOD用の残数、威嚇やポイヒ回復等のクッションとして使うことができた。
堪えるを見せていない時でも残ったHP次第では道連れで1:1せずに残すことでテラス込みのグライオンカイリューに一貫するゴーストや悪の一貫を切ることもできる。
テラスタイプは水ウーラオスやパオジアンを可能性を考慮して水。
殆ど切らないが一度だけ水ウーラオスに対して切ったのでこれでよかったはず。
ここまで長々と褒めちぎっているが、型が知られてしまうと毎回50%の択を押し付けている程度のポケモンであることは否めない。
イーユイ@拘り眼鏡
フェアリーテラス 災いの珠
控え目 151(164)-*-107(52)-176(36)-141(4)-152(252)
オーバーヒート 悪の波動 テラバースト 火炎放射
H
・8n-1(キョジオーン意識)
HB
・204カイリューの+1テラス神速耐え(93.75%)
・テラス後200水ウーラオスの水流連打耐え
C
・198-121カイリューを悪の波動をマルスケ込み2発で落とす
HD
・200キラフロルのパワージェム耐え(93.75%)
S
・準速(ウーラオス、キラフロル意識)
鋼、キョジオーン入りへの崩し、サーフゴーへの圧力として採用。
グライオンが打点を持たない鋼タイプのアーマーガア、ドータクン、ミミズズやテラスしてくるサーフゴー、クワガノンなどハリーマン+グライオンの選出ができない相手に対して選出する。
持ち物は眼鏡以外でサイクルを崩すことが難しいため眼鏡。
サイクル下で1匹持っていくことができれば、グライオンが一切打点が持てないポケモンが居ようがTODで試合が終わるので、全部倒し切らなくても1匹倒せば問題ない、なんなら回復できないポケモンを大きく削ることができればそれで充分。
配分はキョジオーン周りのポケモンをできるだけ意識して、火力は崩しができる最低限に留めた。
テラスタルはウーラオス入りに選出の選択肢を増やすためにフェアリー。
炎悪両半減で環境に多かったトドロクツキにも強い。
技構成はテラバ込みの一般的なもの。
噴煙にするとカイリューが燃えて毒が入らなくなり、羽カイリューが突破できなくなる恐れを危惧して採用を見送ったが、燃やすことでTODで勝ったりイーユイで倒せるようになることもあるので一長一短。
テツノカイナ@突撃チョッキ
水テラス クォークチャージ
勇敢 239(76)-205(212)-134(44)-71(4)-110(172)-49
H
16n-1(キョジオーン意識)
A
・ワイルドボルトで175-121水ウーラオスを倒す(93.75%)
・ドレインパンチで131-135テツノツツミを倒す
HB
HD
・176テツノツツミの+1ハイドロポンプを2耐え
S
・最遅(キョジオーン意識)
テツノツツミに強くありながら、ウーラオス、暁ガチグマ、サーフゴーとも戦える唯一のポケモン。
キョジオーンに対してイーユイとともに選出し、テラスタルの圧力をかけながらボルトチェンジからイーユイを出すことで、イーユイの技選択時にテラス択をなくしてサイクルを崩す。
キョジオーン以外にも対面操作+眼鏡イーユイで大体のサイクルは崩せた。
技は対面操作のボルトチェンジと最大範囲の3つ。
ワイルドボルトである理由は眼鏡ハバタクカミと対面してしまったときに倒せるように。配分次第で耐えられるので出来れば避けたい。
広い範囲と圧倒的数値と回復兼攻撃技のおかげでシンプルに対面性能が高く、こいつで殴ってるだけで勝てることすらあった。
Sラインは同速がいないかつ麻痺した準速暁ガチグマを抜ける53で使ったりもしたが、暁ガチグマとのS関係が分かりやすく、同速もそこまで多くない最遅の方がよかった。
細かい話だが、HBDの調整先を維持したままHを削りBDに振るとドレインパンチを撃った時に得をして、BDを削りHに振るとワイルドボルトを撃った時に得をする。
ただ、どちらもよく使う技なので、耐久指数が一番高い間を取った。
また、これはテツノカイナに限ったことではないが、TODをするにあたってHPが高いことが有利な場面も不利な場面も展開的に起こり得るので、TODを考慮してH実数値を決めることはしなかった。
テラスタイプは水ウーラオスを意識して水。グライオンが軸である以上水ウーラオスには少しでも厚くしておきたい。
マリルリ@風船
鋼テラス 力持ち
意地っ張り 183(60)-112(252)-101(4)-*-101(4)-94(188)
じゃれつく アクアジェット 叩き落とす 腹太鼓
H
・8n-1(ガブリアス意識)
A
特化
HB
S
・無振りチオンジェン+4
上5匹で殆ど選出が足りていて、あまりにも重い2匹への対策と選出画面でウーラオスに強く、できる限り鋼に隙を見せないポケモンを探した結果辿り着いた。
持ち物は採用理由通り風船。毒菱にも強い。
技構成は採用理由からじゃれアクジェに加えて、取り巻きのチオンジェン等まで崩せる腹太鼓、ヘイラッシャ入りの受けループにTODで勝ち筋を残す叩き落とすにしているが、ターン数や時間の管理を完璧にされると勝てない。
今この記事を書きながらヘイラッシャの眠る対策はミストフィールドで出来そうなことに気付いたのでそっちの方がいいかもしれない。
テラスタイプはグライオンを完封する鋼。太鼓後にテラス神速の圏内に入らないので毒ではなく鋼を優先した。
ハバタクカミが受かってない構築なのでテツノカイナと同じく対面処理できるようになるのも偉い。
選出
・初手ハリーマン+グライオン+@1
グライオンとハリーマンが何も出来ないポケモンが居なければ出す基本選出。
ウーラオスか暁ガチグマがいればカイリュー、どちらもいない場合はサーフゴーが出てきやすいのでイーユイを選出したい。
3匹どれもいなければ刺さってるポケモン誰でもいい。
・初手テツノカイナ+イーユイ@1
対キョジオーン入りへの選出。
対面操作からイーユイで崩す。
個々のパワーが高く、マントや身代わりで対策しているわけではないため対面選出をされても全く不利にならない。
この選出に限らず相手にカイリューが居いればグライオンは選出する。
カイリューが居なければウーラオスを重めに見てカイリューを選出したいがカイリュー無し構築は殆どない。
・イーユイ@2
アーマーガアやドータクン、ミミズズ、クワガノン等グライオンが何もできない相手への選出。
グライオンが何もできない相手はハリーマンも何もできないのでハリーマン以外から2匹。
明らかにサイクル構築なのに毒菱の対策を怠っているサーフゴー入りはサーフゴーが出てくるためこの選出。
・テツノカイナ@2
テツノツツミへの選出。
全てを破壊されかねないためできるだけ出したい。
毒菱を先に展開していればグライオン+カイリューでどうにかなるときもあるので、取り巻きを見てテツノツツミを重く見るか決める。
・マリルリ@2
100%出てくるので風船でカモる。
受けループにはマリルリグライオンカイリューだが、勝てるかは怪しい。
重い相手
・グライオンでもイーユイでも崩せないサイクル
TODor悪波怯みワンチャン狙うしかない
・パンチグローブ冷凍パンチ水ウーラオス
・ハリーマンにサーフゴーを後出し
共に選出がかみ合ってしまった瞬間にほぼ負け確
最後に
殆どの対戦が考えていた通りに進み、最終日もどのレート帯でも全く停滞せずにぐんぐん順位が上がっていったのはよかった。
ただ、最終日レート1800スタートだったのと、対戦時間がかかりすぎる構築だったのもあり、二桁以上で戦う時間が残っていなかったのが反省点。
この一か月、毎日のようにポケ徹の詳細検索で毒菱を検索しては一覧を眺めていたので、考察に時間に費やしすぎたせいだが、そのおかげでハリーマンに辿り着いたので難しい。
元々構築記事を書く予定はなかったが、グライオン入りの構築記事があまりにも少なかった(二桁なし?)ので急遽数年振りに構築記事を書いた。
グライオンを使いたい人に少しでも参考になれば嬉しい。